協会の活動状況・会員からの寄稿
SYMPOSIUM_4

アメリカ・イスラム・中国  新政権の日本外交を語る
9・11から5年——激動の国際情勢を多角的に分析


 ありがとうございました。いま安保の話と東アジアの話をふたつ述べられました。そして、日本はきちんと自分で判断してくれよと、たとえば自衛隊のイラク派遣ではアメリカが圧力をかけたわけではなく、自らが動いた。自衛隊に関してはある程度、日本は判断をした。しかし、東アジアについてはあまりしていない。では、そういうなかで何故、アメリカのレーダースクリーンから日本は消えたのでしょうか?

田中 新聞のときは、少し大袈裟に書くんです(笑)。要するに、私が申し上げたかったのは、アメリカの議会で中国への関心が高まっているということ。だからといって、アメリカにとってどの国がいちばん大事かという議論をしているのでもない。ただ、アメリカの議会の中でも、とりわけベルトウエイと呼ばれるワシントンの中でも、皆の関心はいま中国に集まっているということ。たとえば、日本と中国のセミナー開催の割合でいえば 1 対 50 ぐらいです。それぐらい中国が中心で、今後あの国がどうなるかに関心が集まっている。もちろん、いま伸びている国ですから、そういう一面もあってのことですが。
 つまり、日本という国には、中国とは違う役割がある。だから、アメリカのレーダースクリーンからは消えてはならない。また、その役割が何かということについては、今はまだ、日本は明確にしていない部分がある。安倍政権がそれをやってくれるだろう、と私は期待しています。

国分 2 点申し上げたいと思います。ひとつは、レーダースクリーンからは消えていないと思うんです。何故かと言うと、先ほどからお話しを聞いていると、アメリカは忙しくて仕方ない。世界中に問題を抱えていて、そしていまは選挙も控えて国内でも大変忙しい。また、これから暫くはテロ、そして中東の問題にも関わらざるを得ない。そういうなかでアジアの問題について、アメリカのすべてがここに集中し、専念できる状況は、いまの体制から見ても、人員から見ても、土台無理です。そうすると多分、アメリカが期待するのは日本。おそらく、日本にものすごく期待しているはずです。ところが、日本は中国と仲が悪い。これが非常にやりにくい。つまり、ものすごく合理的、客観的に言えば、別にアメリカにとっては日中が争っても一向に構わない。何となく渉外上も上手くいっていますから。ところが、それにも関わらず、アメリカは切羽詰まっている。したがって中国と日本に仲良くなってほしいというのは、おそらく本気だろうと思います。アメリカにとって日本は同盟関係にありますから、そういう意味ではレーダースクリーンからは全然消えているわけじゃない。これが 1 点です。
 それから、2 点目は少し長くなるかもしれませんが、先ほど予告した問題で、いかに今、日中関係の“この瞬間”が大事かという話です。中国内の事情ですが、今日 10 月 6 日は何の日かご存知でしょうか? 多分、中国マニアでないとわからないと思いますが。

 何の日でしょう?

国分 今日、10 月 6 日は文化大革命が終結した日です。今年で30年目になります。毛沢東が死んだのが 30 年前の 9 月 9 日。それから 1 ヵ月も経たないうちに、一網打尽に四人組が逮捕された。毛沢東の奥さんの江青女史をはじめとする四人組が逮捕された。これで文革が終わり、そして改革と開放に突っ込んでいくという。まさに今日はすごい日というわけです。



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2006年12月29日(掲載)
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