協会の活動状況・会員からの寄稿
SYMPOSIUM_1

アメリカ・イスラム・中国  新政権の日本外交を語る
9・11から5年——激動の国際情勢を多角的に分析


 なるほど…。またあとでお聞きしたいと思います。
 国分さんにお聞きします。5 者の連携ということになると中国・ロシア・韓国が非常に大きな問題になってきます。また日中・日韓首脳会談も控えています。当然、中国や韓国にとっても、北朝鮮が核を保有して実験をするということになると、いま田中さんが言われたように、今までの状況とは大きく変わるはずです。たとえば中国は、この問題をどう受け止めて、どう対処しようとしているのでしょうか?

国分 まず、今回の問題に対する私の考えを少しお話ししたいと思います。ひとつは、おそらく北朝鮮は核の保有を既成事実化する、これが最大の目的ではないかということ。2 つめは、そうなると 6 ヵ国協議の枠組みは壊れるかもしれない、ということ。6 ヵ国協議を中心的に担ってきたのは中国ですから、その意味では中国の役割はもうここで終わる可能性すらある。おそらく北朝鮮の最終目的は、アメリカをどうにか引き出して単独交渉をしたいということでしょう。また、アメリカはこれから中間選挙を控えていますし、今の雰囲気ではさすがに軍事的行動は取りにくい。つまり、北朝鮮は、そういうアメリカの国内事情をわかったうえで“突きつけてきた”という感じがします。
 さらに 3 つめは、これを“北朝鮮単独の行動”と考えていいかどうかということ。これについては私自身、酒井さんや西川さんにお聞きしたいと思っています。今回の北の行動にイランとの連動は考えられないか? たとえばアザデガンの油田開発について、イランが日本に対して厳しい言い方をしてきましたが、もしイランと北朝鮮の間にある種の連係プレイがあるのだとすれば、これに同時に対応するのは非常に難しい。
 また、その意味でも、今回の安倍総理の訪中は実に素晴らしいタイミングだと思います。日中ともに靖国の問題には集中させたくないはずで、北朝鮮問題は日中関係の改善にとっては偶然にもタイミングがいい。ただ、このあたりについてはあとで詳しく述べたいと思いますので、先に中国の内部事情をお話しいたします。
 日中の間にはもちろん歴史問題もあるかもしれません。しかし、両者であたるべき共通のテーマもいろいろあります。現実に広がっているこの地域のさまざまな問題、日中の利害関係がこれだけ錯綜している状況下でも、やはり共通の利益、共通の課題は幾らでもあるわけです。そして、なかでも非常に重要なテーマである北朝鮮の問題については、おそらく中国は、全面的に日米と同じ立場には行けないという躊躇はありますが、それでもかなり北に対してフラストレーションが溜まっていることは間違いない。
 一方、北朝鮮にすれば、これまで中国と北との複雑な関係については挙げればきりがない。しかし、それでも別れることができない。そういう両者が今後どういう関係をつくるのか、ということです。たとえば、北朝鮮が中国に徹底的に不信感を抱いたのは多分、先般の安保理の決議に中国が積極的に賛成したことです。棄権してもよかったのに、積極的にやった。このあたりが決定打だったと思います。また中国にすればミサイルを撃つこと自体自分たちに何の通知もなかった、とすべてがそういうふうになってきている。


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2006年12月4日(掲載)
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