ウズベキスタン共和国の紹介
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ウズベキスタンについて
シルクロードへの道




ウズベキスタンについて

 ウズベキスタンと聞いて、パッと地図を思い浮かべられる人は、かなりの中央アジア通だろう。「日本人は、アフガニスタンかパキスタンの一部かと尋ねる人がほとんど」とウズベキスタン人は嘆き、「一刻も早くウズベクの存在をはっきりと世界に示したい」と胸の内を訴える。

 しかし、ウズベキスタンの歴史・現状を知ると、なぜ日本はこの国の情報があまりにも少なく、関係を深めていかないのかと思う。すでに韓国は自動車の合弁生産を行なっており、欧米諸国は New Western(新天地)とも呼び始めているのだ。ウズベキスタンの面積は日本の 1.2 倍、人口は 2,400 万人、首都タシケントなんと 220 万人が住み、地下鉄は 2 本通り、飛行機の生産工場さえある。

 また天然資源も豊富で、金の生産は旧ソ連の 45 %に達し世界 5 位。綿花も世界 4 位でアメリカに次ぐ第二の輸出国。さらに石油・天然ガス・食料の自給体制が整っているうえ、鉄鉱石・石炭などの埋蔵も確認されているのだ。

 しかし、ウズベキスタンが歴史に名をとどめているのは、かつての中国とローマを結ぶシルクロードの中心地に位置していたことだ。サマルカンド、ブハラ、ヒヴァなどの諸都市は、ヨーロッパに近代国家ができるまでの間、まさにユーラシア大陸の交易の中心地だったのである。このため、紀元前よりペルシャ帝国、ギリシャのアレキサンダー大王。紀元後は西突厥、トルコ系遊牧民、8 世紀以降はイスラムのサーマン朝、11 〜 13 世紀はセルジュク、トルコ、そして 13 世紀は蒙古チンギス汗、14 世紀以降はウズベク人のチムール帝国、各王国、19 世紀に入るとロシア、革命後は旧ソ連邦に組み入れられるなど、その地政学的な重要性と豊かなオアシス地域であったことから、つねに歴史上の大国の争奪戦場だったわけだ。世界史をよく観察すると紀元後は、15 〜 16 世紀頃までは、中国とローマ、イスラムがユーラシア大陸で覇権を競い、その要衝の交通路は、陸がシルクロード、海がインド洋であったことがわかる。

 かつては、インドの仏教もこの地を経て中国・日本に伝来したのだ。18 世紀の産業革命以降、欧米中心の文化・科学が日本をおおい、かつての中央アジアは旧ソ連に組み込まれてしまったため、この歴史的な要衝の地は、日本人の頭から忘れ去られたが、1991 年、ソ連邦の崩壊直後にウズベキスタンは共和国として独立、再び旧シルクロードの遺跡とともに、歴史の舞台に登場してきたといえる。

 いま世界を見渡すと、ヨーロッパ、アメリカ、日本は成熟国となり、今後の潜在成長国は ASEAN 、中国、インド、旧ソ連邦などで、それらの人口はあわせるとゆうに 40 億人に達する。そしてその地政学的な中心地がウズベキスタンなどを中心とする中央アジアなのだ。欧米が New Western と呼ぶのは、まさに 21 世紀において、再び戦略的な要衝を占める位置にあるからといえよう。

 もう一つ重要な点は、ウズベキスタンは日本に片思いをしているという点だ。これからの経済改革をめざすにあたり、日本の明治維新・戦後復興をお手本にしたいとして、本気で日本の発展過程を研究、日本に 100 人を超える人材を勉強のために送り込んできているし、ウズベキスタンの大学では、なんと 300 人を超える学生が日本語を学んでいるのである。

 こうした熱意に応えて、日本の孫崎享前大使や千野忠男前大蔵省財務官らが、熱心に経済界や政府を説得、各種経済使節団などを送り込んだほか、1996 年 10 月から、大蔵省の北村歳治財政金融経済研究所次長(注 1 )がウズベキスタンの金融アカデミー副学長として異例の赴任をすることになり、1 年以上にわたり人材育成にあたった。旧ソ連のウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、キルギスタン、タジキスタンの事をファイブ・スタン( state のこと)というが、そのなかでもウズベキスタンの経済改革は成功例として認知され始め、日本への思いはますます強まっているという。

 親日国であり、旧シルクロードの名所でもあるウズベキスタンの将来的な重要性を少しでも頭の片隅において、隣りのアフガン情勢の緊迫化などとからめて今後のニュースを見ていただきたい。今後のウズベキスタンの課題は経済の近代化と、民主化や自由化、そして貧富の格差などを縮小して名実ともに自由で人権などを重視した民主国家として世界に認知されることだろう。(嶌)
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