協会の活動状況・会員からの寄稿


【寄稿】当協会会長嶌の高校時代の同級生が抱き続けた
ウズベキスタン協会の願望を,そのご子息が成就した記録について
 数時間の飛行の後、タシケント空港に到着した。入国審査が終わると両替もせぬまま、いきなり真っ暗な空港の外に放り出された。途方に暮れていると、タクシー運転手のおじさんが声をかけてきたので、料金は高いが仕方なくそれに乗ることにした。車中では片言のロシア語でどうにかやり取りし「日本人か。サマルカンドとブハラはぜひ訪ねると良い」等と勧めてくれたり、通りがかった街の名所を案内してくれたりした。ちょうどロシア正教ではクリスマスの時期にあたり、通りはツリーやサンタクロースで美しく飾られていた。投宿した「ホテル・ウズベキスタン」は中央政府の官庁街に位置し、おそらく築数十年にはなろうかという高層建築である。付近は数十メートルおきに警察官が配備され検問にあたっており、地下鉄に乗る際も手荷物を逐一調べられる。建築物と併せ旧ソ連的な雰囲気が色濃く残っていた。ソ連軍に抑留された日本兵が建てた重厚な「ナヴォイ劇場」も新市街の中にあった。

 昨年(2017年)末から今年初めにかけ、かねてからの念願であったウズベキスタンへの訪問を果たしたので記しておきたい。

 成田を出発し、韓国・仁川空港にて乗り継ぎをした。その大韓航空タシケント行き飛行機便の搭乗口に集まってきた人々を見て、私は「いよいよ彼の地が近づいてきたのだな」という実感が湧いてきた。中央アジア諸国にはカリェーツ(高麗人)と呼ばれる、朝鮮半島にルーツを遡ることのできる人々が暮らしており、韓国に出稼ぎに来ている人も多い。

 碁盤の目状に整然と区切られ、ロシア系と思しき人々を多く見かける新市街とは対照的に、古くからの伝統ある旧市街は、実に無秩序に広がっており、混沌とした様相を呈する。また格段に人の活気が感じられる地域だ。市場の娘さんに勧められるまま、シャシリクと呼ばれる、香ばしい羊肉の串焼きを頂いた。市場を出て、土づくりの家の合間を縫うような道を抜けると突然、視界が広がり、あらかじめ頭に思い描いていたウズベキスタンのイメージをそのまま再現したような、息をのむ美しい水色の尖塔を有するイスラム寺院「ハズラティ・イマーム・モスク」が現れた。寺院の広場には観光客や若干の巡礼者もみられた。

 街外れには日本人墓地があり、それを探してうろついていると通行人の方がわざわざ「日本人墓地はこちらですよ」と場所を案内してくれたことがあった。また、街で偶然呼び止められた男性からも「君はどこから来たんだ」「はあ、日本から来ました」などと話しかけられているうちに「うちの職場に寄って行け」と誘われ、しばらくいろいろな身の上話をした。はじめは若干不審に思っていたが、すぐに全く他意はないことが分かった。日本では人と人とのつながりが薄くなっている、と指摘される昨今だが、この地はとても人懐っこく本心から暖かく接してくれる親切な人々が多い。現代の日本社会に示唆するところが大きいのではないか、と感じた。当初、具体的にどこを訪ねるか漠然としていたのだが、結果的に道中で出会った人々が案内してくれ、行先を決めてくれた。また復路航空便の乗務員の方が往路と同じで、日本人が珍しかったためか、私のことを覚えていてくれた。お世話になった皆さんに深く御礼申し上げたい。

 ウズベキスタンは中央アジアの中心にあって、旧ソ連、ロシア、トルコ、イスラム、ペルシャ、といった古今東西、東洋と西洋のあらゆる文化が何層にも交わってできた国だということを、肌で感じることができた。この旅行を思い立たせてくれた日本ウズベキスタン協会に深く感謝するとともに、ぜひまた機会を見つけて再訪し、周辺諸国や運転手さんに勧められたサマルカンドやブハラなども訪ねたいと考えている。
(寄稿者:亀島 亮)


【追記(当協会会長嶌より)】
 私は亀島亮君の父上と高校の同級生です。父上の泰文氏は理系人間で数学にもっぱら強く、先生が黒板に問題の解き方を記すと、さっと手をあげ「こういう解き方の方がわかりやすいんじゃないですかね」と言って黒板に自分で解を書くような人物でした。それは、自分の解き方を誇るという態度ではなく、「別の方法もあるならコメントして下さい」という言いぶりで、常に教室を湧かし、学問の面白さを呈示してくれたような気がします。登山にも時々一緒に出かけるなど、気の優しい本当にいい男でした。

 亮君も多分その血を継いで興味のあることに集中するタイプではないかと思いました。私はウズベキスタン協会の会長を務めていますが、若い人でウズベキスタンに興味を寄せる人はそう多くはありません。きっと中央アジアの何かが琴線に触れたのでしょう。父上の縁で知り合い、ウズベキスタンについても関心をもたれていることを知り、嬉しくなりました。
(寄稿者:嶌 信彦)

2018年03月10日(新規掲載)

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