協会の活動状況・会員からの寄稿


3・11後の日本と世界を考える 日本の未来
──大震災・イスラム・文明の転換──
濃密だった「日本の未来」シンポジウム 約150人が耳を傾け、メモ
 「短期的には、大震災や原発事故、政治の不安定など困難が山積しているものの、中長期的には日本は再び新興国やアジア諸国のモデルとして存在し続ける力を持っていよう」──6月18日の総会後に開かれたシンポジウム「日本の未来──大震災・中東・文明の転換」で、多くのパネリストが日本と世界の情勢を様々な観点から討論し、日本人の資質で現在の国難を乗り越え未来を切り開いて行くだろうと語った。
 シンポジウムは午後1時半から4時過ぎまで、約150人の会員、非会員の参加を得て日本プレスセンターで行われた。パネリストには飯塚正人東京外国語大学教授(中東・イスラム)、グレン・S・フクシマ元米国大統領府通商代表部日本部長(アメリカ、日米関係)、田中正昭元電力会社役員(エネルギー、ボランティア)、西川恵毎日新聞専門編集委員(欧州、イラン)、司会兼パネリストとして当協会の嶌信彦会長(経済、国際情勢)、川戸恵子副会長(政治、社会)が出席、2時間半にわり密度の濃い討論を繰り広げた。討論の主な論点、主張をまとめると以下の通り。

──全く違った日本と欧米の報道──
 ▼ 仙台を中心に石巻、釜石、気仙沼などに3回、約3週間出かけた。どこも人手が足りず復旧は遅々として進んでいないが、女性や若者の参加が多く、仕事を終えた後に皆で経験を語り合うことが貴重に思えた。
 ▼ 震災直後の欧州メディアは、1時間のニュースのうち30分を原発、20分を津波と地震、残り数分を国内やリビアと言う具合だった。チェルノブイリは悲惨な事故だったが、旧社会主義の国、共産党官僚の国の事故という目で見ていた。しかし今回は西側先進国、科学技術立国を標榜する日本で起きただけに衝撃が大きい。ドイツ、イタリアなどの反原発国は「それみたことか」というムード。一方、フランスはEUの電力ハブになるだろう。またロシアへのエネルギー依存が高まるかもしれない。
 ▼ 中東諸国は人口増加が激しく石油だけで国を運営できなくなるという危機感が強く、コストの安い原発に期待がある。それと原発を持つということは一流国の証しという誇らしさもある。原発推進の方向は変らないだろう。

──先進科学技術国・日本の事故に衝撃──
 ▼ 事故発生当初、日本はかなり楽観的な見方が多かったが、欧米は危機感が強かった。核に対しては情報機関、軍も一体となって管理する体制にあるし、原発へのテロを警戒しているから、事故が起きた時の対応は日本よりしっかりしていると思う。核とエネルギーの独立や管理体制の意識は普段からすごい。
 ▼ 中東はこれまで経済格差がひどく、そのうえ言論の自由がなかった。今回の民主化である程度の言論の自由を得て正しい選挙を行うかもしれないが、新政権ではたして政治が機能するかどうかだ。サウジは人口が都市に集中しているわけではないし、イランも軍隊とは別に宗教・政治を守る革命防衛隊が存在するので簡単に民主化革命に進まないだろう。

──中国が突出、ロシアは退潮の中東──
 ▼ 今後はトルコ的な民主政治やトルコの動きがカギだろう。フランスは北アフリカを親欧州とするため、権威主義の体制を黙認してきたが、チュニジア、エジプトで失敗。リビアでも突出し危うい。アメリカはイラク、アフガンで疲弊し完全に引いている。ロシアは中東での足場をなくし、代わって中国が農業から小売り、スタジアムまで作って根付いてきた。ただ市場は自由で政治は権威主義、独裁の中国は中東・アフリカのモデルだったが、中国モデルも危うくなってきた。
 ▼ 米・仏は世界にミッションを提起するが、日本は他国に先駆けて文明に矛盾と匕首(あいくち)を突きつけている。日本がこの危機をどう乗り切るか、先進国として問われている。日本は米・仏などに比べ、Public Diplomacy(広報外交)で大敗北している。サルコジはこの3ヶ月で8回会見に応じ、日本の事故に支援を見せつけるなどしているが、日本は内向きで政府の事故説明や主張にも説得力がなさ過ぎる。

──日本の役割は──
 ▼ 今は第3の国難といわれるが、幕末には徳川265年の政権を倒し、欧米列強の植民地化をはねのけて近代国家を作ったのは下級武士。敗戦後の日本も軍部、政治家、財閥、官僚トップらはGHQにパージされ、戦後日本のGDP大国を作ったのは20〜40代の現場力だ。今の日本も大きな構想を出すのは政治ではなく現場からの思想、結集力ではないか。ぶれない「凛とした軸」「徳のある国」「総中流生活の再生」など人々の心をつかむ言葉を今後の国の目標として具体的政策を出していけば、政治はいずれついてくる。今の政治にリーダーシップを期待してもダメだろう。
(文 責:嶌 信彦)
2011年07月02日(誤植訂正)

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