協会の活動状況・会員からの寄稿
今日のニュース・明日の予測   No.217 2005年5月23日(月)


流動化する中央アジア
アメリカのウズベキスタン離れ?

ウズベキスタンの反政府暴動を巡り、アメリカが微妙に姿勢を変えてきた。
5月19日、アメリカ政府高官は「何百人ものデモ参加者が軍の暴力で殺害され、きびしい態度を取らざるを得ない。対ウズベク支援を一時停止する政策決定をアメリカ国務省で検討中だ」「現地の情報が集まるにつれ、我々の憂慮は深まった。ブッシュ大統領は対テロ戦争に対する協力よりも民主化を重視している」「事件の背景は、外国のテロ組織流入という国外要因ではなく、強権体制への反発や貧困などの国内要因だ。ウズベク情勢正常化の処方箋は、民主改革のみだ」(5月20日付毎日新聞)と述べている。
これまでアメリカは、90年代のウズベキスタン・カリモフ政権に対し、批判的立場をとっていた。強権的統治や人権・民主主義・腐敗・貧困化などの件に対し、「政治のあり方が問題だ」と主張し、援助やIMF・世界銀行を通じた支援にも冷たかった。
それが2001年の9・11事件で変わった。ロシアや中央アジア、とりわけウズベキスタンが主張していたイスラム原理主義者などのテロ攻撃・武装闘争などに理解を示し、共同戦線をはる立場を鮮明にしたのだ。とくにアフガン戦争に関連し、ウズベキスタンがアメリカ軍に基地を提供することを約束してから、その緊密ぶりが強まり、アメリカは援助などを急増させ、強力なカリモフ政権の支援にまわったのである。
その方針をアメリカが本気で変えるとするなら、ウズベキスタン情勢は、一段落どころか、今後一層、深刻化を増すだろう。それどころか、キルギスに続く反政府の嵐は、さらにトルクメニスタン・カザフスタンなどの中央アジア全体に広がる可能性が強いだろう。


独裁政権色の強い中央アジア各国

中央アジア各国は、旧ソ連が崩壊した90年以降の91年に独立した国が多い。ただ各国の大統領は、旧共産党の州知事(第一書記)クラスがほとんどで、建国以来ずっと大統領職に座ったままなのだ。とくにトルクメニスタンのアタエヴィチ      大統領は、自ら終身大統領を名乗る独裁ぶりなのである。
旧ソ連から独立した国々は、グルジア・ウクライナで民主化革命が起き、それがキルギス・ウズベクの反政府運動へつながってきたと見ることができる。
こうした中央アジアの変動に、国内にイスラム勢力をかかえるロシア・中国は未だ静観、あるいは現政権寄りの姿勢を崩していない。ウクライナを支援したヨーロッパは、反政府運動支持をいち早く表明、アメリカにも影響を与えた。中央アジアは、再び国際的な焦点の場となり、民主化の嵐が吹くか、独裁的政権が続くか、はたまた国内が混乱し、イスラム原理主義などテロ勢力の拠点になっていくのか――目が離せない。


15世紀以前は文明のるつぼ

中央アジアは、15世紀以前まではシルクロードの中心にあり、古くは紀元前にギリシャのアレキサンダー大王に始まり、ローマ・イスラム諸国・ペルシャ・モンゴル・中国・インド・ロシアなどに占拠されたり、大きく影響されてきた。16世紀以降の大航海時代・大航空時代、IT・グローバル化時代には、忘れられた存在になっていたが、実は大変な文明の発祥地であり、多民族の国なのだ。しかも石油・綿花・稀少資源などをもつ国々でもある。ただ、中央アジアは周囲を砂漠や山岳地帯に囲まれ、資源輸出の道がきびしい状況にある。このため、豊富な資源を持っているにもかかわらず発展が遅れ、そこへ強権的政治が続いて、国民のモチベーションも高まらないのではないかと思われる。


NPO日本ウズベキスタン協会の立場とお誘い

実は私は、この欄で何度か書いてきたように「NPO日本ウズベキスタン協会」の会長を務めている。96年にウズベキスタンを取材、その歴史的文化やシルクロードに残る日本人伝説、ウズベク人の日本への思いなどをドキュメンタリー(TBSテレビで放映)を作成したところ、たくさんの反響をいただいたため、97年に協会を立ち上げたのである。
ただその時、ウズベキスタンなど中央アジアの“開発独裁的政治”にはいささかの不安と懸念も抱いていた。このため、協会設立にあたって、目的はあくまでも「ウズベキスタンとの文化・学術・人的交流――とくに留学生受け入れ」などに重点を置くこととし、政治には関与しない方針を貫いてきた。このことは、これまでの当協会の広報誌やホームページ、折々に書いてきた私の原稿を見ていただければお分かりいただけると思う。
私たちの協会では、今後もこの方針を貫き、シルクロードの国々と交流を深めていきたいと考えている。当協会では、留学生や在日ウズベク人とのトークの会、社会見学、交流会はじめ社会問題のシンポジウム、文化展、ウズベク語講座、シルクロード旅行、文化・環境問題の研究など、約10の委員会を軸に600人が活動している。ぜひ、この機会にホームページなどをご覧になって入会され、ご一緒に活動されることを期待している。


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協会電話は03-3593-1400、FAXは03-3593-1406です。

なお、現在開催中の愛知万博では中央アジア共同館で、各国が歴史や文化、現代産業の展示を行なっている。ぜひ、ご覧になって参考にしていただければと思います。
 
2005年5月27日(掲載)
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