協会の活動状況・会員からの寄稿
在ウズベキスタン大使 河東哲夫様より当協会に寄稿いただきました。
河東大使からの寄稿【第一回】
8月27日に在ウズベキスタン、在タジキスタン大使として着任しました。日本・ウズベク協会の幹部の方々とお目にかかっていますが、これからよろしくお願いします。
○任地を変わるということ
 これまでモスクワで勤務しており、中央アジアについてはソ連、ロシアの見地から見ていましたが、ウズベキスタンに着任してからは申すまでもなく、全く別の立場から見ています。中山大使については言うまでもなく、前任の諸大使の時代に日本とウズベキスタンの間には非常に広範、かつ緊密な関係が築かれていますので、これを継承して発展させていくだけでも並大抵の仕事ではありません。
 外交官の仕事は多面にわたります。政治・経済・軍事動向についての知識と勘を必要とする点は政治家や学者に通ずるものですし、マスコミに登場するなど多数の人に語りかける時には「コミュニケーター」としての能力と高い語学力が必要とされます。文化交流を拡大するためには、人物の品定め、資金集めなどプロモーターまがいの能力もなければなりません。そしてなりよりも官僚として、事務手続きに落ち度があっては話になりません。 
 外交官は一言で言えば、「人脈屋」のようなものでしょう。任地と日本の双方に有する広い人脈を結びつけることによって、両国の関係を進め、時たま起こる難しい問題を円満に解決することができるのです。
 数年に一度、任地を変わることは、大変なことです。人脈については大使館に知識の蓄積があるといっても、主だった人を訪問し、自宅に招待して親しくなるには、少なくとも半年はかかります。しかし様々な国、様々な文明の中で生活していくことで、それらの国や地域について、本屋マスコミからだけでは学べない「勘」というものができてきます。
単なる知識がコンピューターで言う「ハード」であるとすれば、情勢のシミュレーションを頭の中でできるようになるための「ソフト」は、その国の生活を知り人を知らねば、おそらく手に入れることはできないでしょう。
 というわけで、着任以来の三ヶ月、山のような引っ越し荷物を自分で整理し、本や資料を読み、情報をコンピューターに蓄積し、政府、経済界、学術・文化界、そして他の国の外交官など主だった人を訪問し、公邸での食事に招待し、日本からの客のお世話をし、地方を視察し、経済協力の要請を受けと、忙しいときを過ごして今、一段落したところです。

○ウズベキスタンで感じたこと
 ウズベキスタンには、東京の酷暑の八月に着任しました。まず第一印象は、「案外涼しいじゃないか」ということでした。東京の常時サウナのような所に比べますと、湿度が低いのが何よりで、着任後しばらくして赴いたサマルカンドの郊外の、ビワがたわわになった林でお茶をのんでいますと、そよ風が梢を渡り、見たこともないきれいな色の鳥が鳴きながら飛んでいきます。天国のような所で、ウズベキスタンにいつか日本の年金生活者の団地ができても不思議ではない、と思った次第です。
 次に驚いたのは、タシケントが大きなことです。車で随分走っても、街が続いているのです。調べてみましたら、タシケント市の面積は千代田区の二十倍あり、ソ連時代はモスクワ、レニングラード、キエフに続く、第四番目の人口を持つ都市でした。
 そうこうしているうちに感心したのは、ソ連崩壊後の十一年間という短期間の間に、一つの独立国家としての体裁をよくこれだけ整えたな、ということです。例えば外務省はソ連時代、十五名しかいなかったのが、今では二百名以上を擁し、世界経済国際関係大学などで新しい優秀な要員が次々に養成されています。ソ連時代の古いメンタリティーを持った人達はまだ大勢いますが、こうした若い人達は西側にも留学して新しい行動様式を身につけてきています。
 経済的に苦しい中で教育には政府予算の28%が割り当てられているためもあって、大学や学校の建物はメンテナンスが比較的よく、何よりも学生や生徒の勉学意欲が強いことは気持ちいい印象を与えます。そして人々が猛々しくなく、農耕民族的なおとなしさと細やかさを持っていることも、大いに心を休めてくれます。(2002.12.22掲載)
河東大使

1947年生まれ。
1970年東京大学卒業後、外務省入省。
以後、欧亜局東欧課長、在スウェーデン大使館・在ソ連大使館・在ボストン総領事館勤務等の後、在ロシア大使館公使を経て現職
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