協会の活動状況・会員からの寄稿
寄稿:ウズベクの春

Chorvok湖での
ムラド君・ラフシャン君


テーブル一杯に
運ばれたごちそう


大黒柱のおじい様・おばあ様

親日家のおじい様

おばあ様からプレゼント
されたアトラス布


ムラド君のお宅のキッチン

■ウズベクの春

春まだ浅い3月半ば、昨年秋まで筑波大学に留学していたムラド・ナザロフ君を訪問することにしました。突然旅立ちを思いつき、タシケントまでの往復航空券と出発間際に発給されたビザを懐に、ムラド君親子に会いたい一心での一人旅を決行しました。夜中の11時過ぎにタシケント空港に降り立つと、懐かしいムラド君とムラド君のお母さまとラフシャン君が空港で赤いチューリップの花束を持って出迎えてくださいました。みんなの顔を見つけたとたんに、一人旅の心細かったこともすっかりどこかにすっ飛んでしまい、懐かしい顔々に巡り合え大感激の再会でした。

ムラド君は、私の滞在中に、彼の心をすっかり奪われてしまった素晴らしい女性に結婚を申し込ことになっていました。ムラド君のお父様は他界されておらず、ムラド君のお母さまについて私も一緒にお嬢様の家に出向くことになりました。
縁談の進行のための私の役割は重大でした。私は、ムラド君に書いてもらったウズベク語の結婚申込の文章を一生懸命練習し、当日に臨みました。私の二人の息子の時には経験したことのない役割に、日本から持参した和服を身に着け、ドキドキしながらお嬢様のお宅に参上。予め今日の訪問はお約束が出来ていたので、門の扉が開くと数人の女性の出迎えを受けました。中庭に通されると、そこには、大きなデコレーションケーキが飾って有りました。私たちを歓迎して下さっているのだとすぐに理解できました。「マルハマット、マルハマット」と大歓迎を受け、お二階のシャンデリアの輝く大広間に通されると、ドーンと置かれた大きなテーブルの上には、それはそれは沢山のコンポートに飾られた果物や、お菓子や、木の実・・・。 そのうち、お嬢様の家の大黒柱のおじい様とおばあ様、ご両親、ご親戚の方々が一同に集まられました。 

日本では、「はじめまして」と簡単に挨拶してしまうところ、ウズベク流は、いつでも相手のこと、家族の全員のことを気遣って、次から次へと途切れなくスラスラと言葉を交わします。 それを次から次へと、ムラド君が日本語に訳してくれます。ドンドンドンドンお相手からのご挨拶が続きます。
私も、ドンドンドンドン日本語でご挨拶をお返しします。ご挨拶が終わると、「さあ、私はムラド君の一大事のお役を果たさなければならない!」と、予期せぬ勇気が出てきてしまいました。

ムラド君は私を心配して「お母さん、ゆっくりと大きな声で読んで下さい」としきりと繰り返すのです。一番私の発音しにくかった「ギジンギス」(お嬢様)という単語は、予め「ジ」にアクセントマークをふっておいたので、本番でも「ギジンギス」と出来ました。最後の「二人を結婚させる事がよろしいと思いますが、みなさま如何でございましょうか?」と問いかけの文章は、語尾を上げる様に予めマーキングしておきました。

どうにか、無事読み終えたのですが、いつまでもお返事はなく、ただ、次から次へと運ばれるご馳走攻め。私は、その場でお嬢様のお宅でOKのお返事を頂くものとばかり思っておりましたが、一向にそんな気配はありません。「何か私が変な事をしてしまったのかしら? もしかして、こちらさまではこの結婚には・・・?」とわけもわからず心配でした。でも、帰りの車の中では、ムラド君のお母さまもムラド君も大喜び。私には訳がわかりませんでしたが、ウズベクではこのような訪問をこれから何回か経た後に、お嬢様の父上の承諾をいただいて、正式な婚約の運びになるそうです。

ここで、晴れの日のウズベクの食卓のメニューをご披露します。
おばあ様の指揮のもと、花嫁候補のお嬢様が一生懸命腕を振るった食卓は、各種のサラダ、ミートボール入りの澄んだスープ、ミートパイ、ラグモン(馬のソーセージ添え)、シャシリック、デザート。どれをとっても日本人の口にもあったとってもおいしいお料理した。ラム肉は日本で売られているものとは全く違い、匂いもなく、はじめてあのような美味しいラム肉を口にしました。

もう一つ、ムラド君の家庭での朝食をご披露いたします。
自家製の杏のジュース、葡萄のジュース、甘いカッテージチーズ、鳥の燻製、ボイルタン、キューリの酢漬け、メロン(秋に収穫されたものが、今でもみずみずしい)、ノン(ナン)、ナッツ・ドライフルーツ。

ウズベクの食卓の豊かさ。どれをとっても美味しい本物。日本のような、濃縮還元のジュースや保存料の入ったハムを食べていた口には、毎日食べても飽きない本当の美味しさでした。実りの季節に各家庭で1年分を瓶詰めにして地下室に保存して置くそうです。素晴らしい食文化です。チムールの時代から、脈々と受け継がれているウズベクの文化を食卓からもつくづく感心させられました。
会員 林 経子 
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